123 第33期竜王戦、豊島ようやく初防衛 [Dec 08, 2020]

第33期竜王戦七番勝負(2020/10/09 – 12/06)
豊島将之竜王 O 4-1 X 羽生善治九段

七番勝負開始前に予想したとおり、豊島竜王が羽生九段を破ってタイトル初防衛に成功した。

豊島竜王は防衛戦に弱く、これまで3回連続して防衛戦でタイトルを失っていた。番勝負に弱いとも思えないし、実力は現役屈指である。ただ、長考するとペースを自ら狂わせてしまうところがあり、今回も長丁場になると不安があった。

しかし、その心配は杞憂であった。1勝1敗で迎えた第3局以降を3連勝して、4勝1敗でみごと竜王初防衛を果たしたのである。

今回の場合、羽生九段には申し訳ない言い方だが、強力なライバルが挑戦者になる前に次々と敗れたのが大きかった。渡辺名人、永瀬王座はランキング戦で敗れ、藤井二冠も決勝トーナメント初戦で敗退した。羽生と丸山の挑戦者決定戦となった時点で、豊島竜王はひと安心したのではないかと思う。

七番勝負で鍵になった一戦として、第一局をあげたい。この開幕局で、矢倉模様から後手番の豊島竜王が早々に右桂を跳ね、双方居玉からの超急戦となった。初日午後、羽生挑戦者の5五角に対し、豊島竜王が2七歩の飛車取りで切り返したのである(下図)。

角を放置すれば、3三角成で馬を作られて王手香取りなので、放置するには勇気もいるし事前に研究していないと打てない。豊島竜王は春の過密スケジュール時にはこういう手は打てなかったので、ようやく調子が戻ってきたようだ。

この後一直線の駒の取り合いとなり、竜王戦七番勝負史上最短の52手で豊島竜王が先制した。この一局が、今回の防衛戦の流れを決めたように思う。羽生九段のタイトル100期は成らなかったが、99と100の違いにこだわることもない。99でも十分に偉大である。

さて、第34期竜王戦はすでにランキング戦の組み合わせが発表となり、順次スタートしている。豊島竜王への挑戦権へ最短距離にあるのは、やはり渡辺、永瀬、藤井の四強残り3人である。

ただ、渡辺名人は昨年同様、年明けから王将戦、棋王戦、名人戦と番勝負が続く。順位戦がないのは恵まれているものの、ハードスケジュールの合間となるランキング戦に万全の状態で臨めるかどうか不安は残る。

永瀬王座も王将戦の後は大詰めの順位戦、そして王座戦の防衛戦と続く。藤井二冠もちょうど決勝トーナメントの時期に王位戦、棋聖戦の防衛戦が重なる。間隙を縫って今期のようなベテラン勢、あるいは佐々木勇気、近藤誠也など若手の台頭があるかもしれない。

[Dec 8, 2020]


第33期竜王戦七番勝負、第1局は双方居玉のまま超急戦となった。後手番豊島竜王が3三角成を放置しての2七歩が鋭く、このあたりから形勢が傾いたようだ。竜王戦七番勝負で最短の52手で豊島竜王が先制した。