101 筑波山(白雲橋コース) [Dec 8,2020]


この図表はカシミール3Dにより作成しています。

2020年も12月になった。わが国ではクルーズ船騒ぎで幕を開けたコロナ騒ぎだが、冬を迎えて緊迫の度合いを高めている。

例年だともう1回くらい奥多摩方面に行けそうな季節なのだが、いまの状況下で都心を横断して移動するのは気持ちが悪い。やむなく、地元に近い山から選ぶことになる。

今回は試したかったことがあったので、一昨年登った筑波山にもう一度行ってみることにした。前回は、御幸ヶ原コースという男体山をめざすコースだったので、今回は前回下りで使った白雲橋コースから女体山を目指すことにした。

コースの名前となっている白雲橋というのがどこを指すのか、Googleで検索したけれど分からない。こういうことこそ検索順位で上位にしてほしいものだが、向こうも営業だから仕方がない。そういう名前の奇岩があるのか、あるいは女体山神社裏の小さな橋のことだろうか。

WEBによると、御幸ヶ原コースより初心者向けということだし、下ってきた時の印象はそれほどきつくなさそうだったので、それほど心配していなかった。ちなみに、御幸ヶ原コースは、コースタイム90分(休憩除く)で神社から御幸ヶ原まで登っている。

12月8日火曜日、前日からよく晴れていい天気である。この秋は10月に雨が多くて急に寒くなり、11月がいつもの10月のように好天が続いた。12月に入ってさすがに寒くなったが、この日の朝は比較的暖かかった。

午前5時半に家を出て、国道6号から土浦を目指す。この道は日中だと渋滞してしまうので帰りは使えないが、朝のうちなら混む前に土浦より先に出られる。土浦北インター付近で左折して、宝篋山下から筑波山神社に向かう。

2時間足らずで市営第3駐車場に到着、駐車料金500円は前払いである。もう夜が明けてずいぶん経つのに、止まっている車は3~4台。キャパが百数十台なのでがらがらである。筑波山も成田山のように、正月しか混まないようになってしまったのだろうか。

周囲の木立の中には、紅葉もまだ少し残っている。風は少し冷たいけれど、12月にこれ以上望むのは酷なようないい天気である。最初はウルトラライトダウンで歩き始めたが、筑波山神社で早くも長袖シャツとアンダーウェアだけになった。

まず神前で登山の無事をお願いし、本殿横から白雲橋コース入口の鳥居に向かう。いきなり急傾斜である。しかも、林の中で太陽の光が入ってこないので暗い。展望がないのは分かっていたけれど、暗い中の急登は気分が朝から滅入る。

驚いたのは、駐車場にほとんど車がなかったのに、登り初めで何グループかに抜かれたことである。さすが百名山、平日の朝から人がいると思ったのだが、もしかすると市営第三駐車場より登山口に近い筑波山神社駐車場に止めているのかもしれない。

白雲橋コースのコースタイムは、神社から女体山まで110分である。ということは、休憩地のある弁慶茶屋跡まで80分程度で着くはずである。そのつもりで歩き始めたのだが、いつまで登っても岩場交じりの急坂が続く。

下りてきた時の印象ではなだらかな坂道があったはずなのだが、そんな傾斜など出てこない。40分、50分と登り続けるうちに、自分の記憶違いで緩斜面などなかったのではないかと思えてきた(事実は帰路で判明する)。

1時間歩いたけれど緩斜面など出てこないし、当分急坂が続く気配である。あきらめて、平らな岩をみつけて腰を下ろし小休止。御幸ヶ原コースより楽なんてことはありえない。前の月に登った大山イタツミ尾根よりもハードな登山道である。


早朝の市営駐車場はがらがら。紅葉はまだきれいなのに、コロナの影響だろうか。


筑波山神社大御堂の背後に、男体山が見える。


白雲橋コースは林間の岩場の登りが続く。御幸ヶ原コースより楽というのは嘘だ。

 

白雲橋コースには、麓から弁慶茶屋跡まで休憩ベンチはない。その間の標高差は500ⅿ近くあるので、かなりハードである。しかも、コースタイムでおよそ80分で着くはずの弁慶茶屋跡は、なかなか見えてこない。少なくとも初心者には厳しいコースである。

御幸ヶ原コースの方が傾斜が急と書いてあるが、あちらは階段が主で、こちらは岩交じりの登り坂である。しかも、御幸ヶ原コースには何ヶ所か休める場所がある。白雲橋コースには全くない。

人通りがあまりないのを幸い、平らな岩に腰を下ろして5分ほど小休止。GPSを見ると、まだ標高は350m程度。全然登れていない。ただ、少し休んで元気が出てきた。

スイッチバックの急坂を懸命に登る。コースタイムの80分を過ぎたあたりで、ようやく峠地形が見えてきた。さらに登ると、この日初めての緩斜面である。このまま弁慶茶屋かと思いきや、しばらく歩くとまた急こう配の岩場である。一体いつになったら着くんだ?

結局、弁慶茶屋跡に着いたのは9時35分、休憩してからまる1時間かかった。麓からは2時間、神社からにしたって1時間50分かかっている。コースタイム通りなら、女体山まで登れている計算になる。

確かに私の歩くペースは遅いけれども、それにしてもこのルートはハードである。御幸ヶ原コースをコースタイムで歩けているのに、白雲橋コースでは20分以上多くかかっているのだから話にならない。というよりも、コースタイムの基準はどうなっているんだ。

弁慶茶屋のベンチはもっとあったように覚えているのだが、景色が開けた場所にテーブル付が一つと、あとは丸太ベンチが2つあるだけだった。テーブル付は3人グループが飛沫を飛ばして大騒ぎしていたので、離れたベンチに腰を下ろす。

普段は頂上で食べるフルーツパックを、ここで食べる。すでにかなり消耗していたのと、女体山頂上にゆっくりできる場所がないからである。甘いフルーツで体力が回復して、ここから先それほど息が切れることはなくなった。

息は切れないのだが、今度は太ももが痛みだした。筑波山は標高の割に傾斜がきつく、岩場の昇り下りが続くので足場も安定しない。奇岩を撮るふりをして足を止められたのは、ごまかすのに助かった。

女体山まで、弁慶茶屋跡から50分。麓から女体山まで、休憩時間を除いても2時間半かかっている。標高差が650mあるので私レベルではそのくらいかかっておかしくなく、コースタイム110分の方がむしろ謎だと思った。

頂上直下の肩まで来ると、すぐ上にロープウェイが動いているのが見える。そして頂上までは、手足をフル稼働しなければ登れない岩場の急登である。標高が低いからといって、バカにできない。

女体山神社の裏から、橋を渡って頂上に出る。平日の昼前のせいか、前に来た時より人は少なくて待っていたら頂上は無人となった。天気がいいので、霞ヶ浦まで一望できた。

ただ、ここの頂上は狭いうえに飲食禁止。ここで休む訳にはいかない。ロープウェイが着いたのか後続のグループがやってきたので場所を空ける。急坂を下って弁慶茶屋にもどるのに、また1時間かかってしまった。


白雲橋コースで唯一の休憩場所が弁慶茶屋跡。ここまでまるまる2時間かかった。


弁慶茶屋を過ぎると、登山道の左右には奇岩が続く。


ようやく肩の部分まで来て、木の枝越しに女体山頂上が見えてきた。頂上直下までロープウェーで行ける。

 

相当ハードだった白雲橋コースに比べて、つつじヶ丘に下る「おたつ石コース」、つつじヶ丘から筑波山神社までの「迎場(むかえば)コース」は快適、まさにハイキングコースで筑波山のイメージどおりの道であった。

おたつ石コースは最初の5分ほどだけ白雲橋コース同様の岩場が続くが、すぐになだらかな下り坂となり、次いでつつじヶ丘のロープウェイが見下ろせる位置になる。そのあたりから簡易舗装の遊歩道が始まって、つつじヶ丘まで続く。

途中、何脚かベンチの置かれている場所がある。霞ヶ浦から遠く太平洋まで見渡せるいい景色で休憩場所としてはベストポジションだろう。ただ、白雲橋コースで予想外に時間がかかってしまったので、ここでは休まず下り続ける。

弁慶茶屋跡からつつじヶ丘まで50分ほどかかった計算だが、そんなに歩いた気がしないほどすぐに下りてこられた。登山道の出口には遊具がたくさん置かれていて、閉まっているお土産屋さんの前に出る。

駐車場まで下りて周囲を見回すと、はるか昔、中学校の遠足で来たのはここだったと思い出した。四六のガマの像があり、お土産屋さんが並び、見上げると下りてきた女体山への登山道が伸びている。昔はガマの油の売り口上を実演している人がいたけれども、もうやる人もいない。

駐車場は3分の1も埋まっていない。十数年前にここを目指して車で来たことがあって、満車で車が全く動かず風返峠で引き返したのだが、いまでもそんなことがあるのだろうかと思うほどの寂れようだった。

少し離れたトイレをお借りして、お土産屋さんの横から始まる迎場コースに入る。迎場(むかえば)とは、神社近くの白雲橋コースとの分岐が酒迎場ということから名付けられたものと思われるが、酒迎場の語源はよく分からない。

「万葉の道」という碑が立っていて、コース途中に万葉集の東歌から選んだ何首かの和歌の石碑がある。筑波山は「つくばねの嶺より落つるみなの川」で知られる歌枕で、筑波山や足尾山(芦穂山)を詠んだ歌が万葉集に残されている。

そして、この迎場コースでありがたいのは、10分置きくらいにベンチが置かれていて、東屋さえ2ヶ所にあることである。山頂周辺や白雲橋コースに比べて、なんと親切なことだろう。

そして、最初と最後に比較的急な階段がある他は、なだらかな登り下りのやさしい道で、しかも下り基調なので歩きやすい。その割に歩く人が少なくて、50分ほどの間にすれ違ったのは5~6人だった。

このコースは頂上に直接つながる道ではないし、ずっと林の中で展望が全くなく、眺めを楽しむことはできない。しかし、フィトンチッド満載で、筑波山の他のコースとは違って静かなのは何よりのごちそうである。

50分ほど歩くと、コース名のもととなった酒迎場で白雲橋コースと合流する。ここからは朝歩いてきた逆コースで筑波山神社まで歩くのだが、ここでようやく朝の勘違いについて気がついた。

というのは、合流した後もこれまでの迎場コースと同じように、なだらかな遊歩道が続いたからである。ということは、朝、いきなりの急傾斜だと思って歩いていた道が、下る時にはゆるい坂に感じられたということである。

つまり、前回下ってきた白雲橋コースも、迎場コースも同じような坂で、下る時は楽なのだが登る時はきつくなるということである。どおりで、いつまで待っても緩斜面にならないはずである。


天気は絶好なのに、頂上はそれほど混雑していませんでした。ただ、狭いのでゆっくりできないし飲食禁止。


おたつ石コースに入ると、目指すつつじヶ丘が見えてくる。


おたつ石コースは、白雲橋コースと比べるとかなりなだらか。筑波山のイメージどおりの道である。

 

さて、今回のミッションとして、糖質制限が山歩きにどう影響するか確かめる必要があった。

11月11日に大山北尾根に行った後に糖質制限を始めたので、今回がそれ以降最初の登山であった。普段の生活で、白米や精製小麦製品(食パンやうどん)、スパゲティ等を食べていないものだから、どの程度影響があるのか不安であった。

山中でスタミナ切れを起こしてしまうと嫌だから、前日の夜と当日の昼食は普通に糖質の含まれた食事をとったけれど、それ以前3週間ほどは糖質を制限していた。ものの本によると、直前に摂った糖質が動力源として使えるのは2~3時間だそうである。

そのこともあって手近な筑波山を選んだのだけれど、当日気づいたのは、登る時太腿が痛いということであった。前回、大山のイタツミ尾根を登った時にはなかったことである。

とはいっても、筑波山は標高の割に急傾斜が続く山で、以前の体調で登ったとしても同じだったかもしれない。だが、体が糖分を使ってしまうと筋肉に貯めてあったグリコーゲンを使うというから、その影響かもしれない。

実はそれよりもつらかったことが、登山ズボンがゆるくなってずっと押さえていなければずり落ちてしまうことであった。

このスラックスはモンベル製で、ベルトを使わず腰で締めるようになっている。それを最大限に締めてもずり落ちてしまうのである。大山の時は全然問題なかったのに、これは意外なことであった。

意外といってばかりもいられなくて、これには困った。右手でストックを持ち、左手はスラックスをたくし上げ、おかしな格好で一日歩くことになってしまった。そうしないと、ウェストラインがお尻から下に落ちてしまうのである。

糖質制限の体験談として、ベルト穴が3つ4つ小さくなると書いてあったが、まさか1ヶ月も経たない間にこんな効果があるとは思わなかった。

変な恰好で歩きながら、これが筑波山でよかった。山小屋一泊で、奥多摩とか丹沢に行っていたらえらいことだとしみじみ思ったものでした。

帰りはすぐ近くの「つくば湯」に寄って、痛くなった太腿をよくマッサージした。いいお湯だったので長湯しすぎて、休憩所で横になって休むことになってしまった。幸いに、翌日以降に痛みが続くことはなかった。

この日の経過
市営第3駐車場(251) 7:30
8:30 コース途中の岩(359) 8:35
9:35 弁慶茶屋跡(722) 9:45
10:35 女体山(871) 10:40
11:45 弁慶茶屋跡(722) 11:55
12:45 つつじヶ丘(542) 12:55
13:20 迎場コース東屋(415) 13:30
14:15 市営第3駐車場(251)
[GPS測定距離 8.0km]

[Mar 15, 2021]


つつじヶ丘が近づくと、遊歩道のような道になって歩きやすい。


つつじが丘に着いた。遠足で来たのはおそらくこちら。四六のガマの像や遊具が置かれているが、駐車場は閑散。


迎場コースは林間に簡易コンクリ舗装の歩道が続く。東屋やベンチもあり、人もそれほど通らない。