030 夢の国の千葉県知事選 [Mar 25, 2021]

一部で注目を集めていた千葉県知事選挙、終わってみればさきの千葉市長が過去最高得票で当選した。千葉市長→自民党→共産党の3連単でも100円元返し確実な結果で、投票率が高かったのが不思議なくらいである。

WEBで取り沙汰されていたのは、一部の候補者がまるで当選しようという気がなく、公共の場に出て訴えたいことがあった訳でもなく、とにかく名前を売りたい、有名になりたいだけのように見えたことである。

だから、一部の候補者は最後までポスターすら貼ろうとせず、選挙カーで宣伝する訳でもなく、ひたすらYouTubeで再生数を稼いでいただけである。顔が知られることでいいことがあると私は思わないけれど、悪名は無名に勝ると考える人もいるのだろう。

聞くところによると、知事選の供託金は300万円だそうである。300万円でNHKに何分間か出演できれば安いものだと考えるのも、コスト・メリットを比較すればありうる。300万円で何ができるかコンテストなら、上位に食い込める企画だろう。

もちろん、NHKなり民放の放映枠はそんな安くなく、大部分は税金から出されている。つまり、われわれが納めた税金が誰かの広告宣伝費に使われているということで、税金の無駄遣いという指摘が出てもおかしくはない。

おかしくはないけれど、選挙に出た人に自分の意見を訴える場が提供され、それが編集や校閲なしで国民・県民に届けられることは議会制民主主義の基本として担保されなくてはならない。だから、それは自由のコストとして認めざるを得ない。

政見放送で何も意見を言わず、ひたすら踊っていた候補者がいたけれども、あのパフォーマンスはかつてカルト政党がやったことなので新鮮味に欠ける。ずっと黙っていた候補は確かに誰もやったことがないかもしれないが、普通の番組であれば放送事故である。

3着から大差であとの5人はクビハナといったところだが、4着に入ったのは高校の元校長先生。地元で票を集めたというから、それなりに人望のあった先生なのだろう。

上位3名は若造と共産党で、その批判票かもしれない。昔、自民・共産一騎打ちで、消費税批判が集まって共産党候補が大善戦した知事選もあったくらいである。残念ながら3着から大差で供託金没収である。

「ワクチン危険」の候補者は言いたいことがあるだけ他の候補者よりまともだし、あの意見はお上の言うことは全部正しいという日本的風土に警鐘を鳴らすものだと思うが、校長先生に次ぐ5着にとどまった。

以下は「小池百合子と結婚します」71歳と、黙る候補、踊る候補のブービー争いとなり、踊る候補が最下位となった。

踊る候補は「ベーシックインカム党」を名乗り、国民一人当たり月7万円のベーシックインカムを支給しますと公約しているのだが、残念ながらそういう訴えをしなかった。してもどうだったかという指摘は当然ある。

WEB上の意見によると、国政選挙でN国が議席を獲得したことがこうした選挙戦略に結びついているとされるが、そうではないだろう。かつて参議院全国区がそうであり、一時の都道府県知事選がそうであったように、面白がって票を入れる人が多いだけだと思う。

これが行き着く先は、選挙に行ったってムダというあきらめであり、集票力(組織)を持つ政党が勝つに決まっているということになる。そうやって誰も選挙に行かなくなれば、そこから独裁制までの距離はそれほど遠くはない。

軍部の言うことを聞かないと自宅軟禁されたり、独立を主張すると国家反逆罪で投獄されたり、首領様に逆らうと収容所送りとなる国々と比べれば、選挙に出て悪ふざけするくらいは仕方のないコストなのかもしれない。しかし、そちらの方向に綱を引っ張っているという自覚は持っていただきたいものである。

候補者の誰かの公約にあった(と思う)けれども、そうした国々に比べてわが国は夢の国なんだなと改めて感じる。

[Mar 25, 2021]


公示直後の選挙ポスター。その後、7番「ワクチン危険」は貼られましたが、2番3番は最後までこのままだったようです。(2踊る候補、3小池百合子)