126 第46期棋王戦、渡辺棋王タイトル9連覇 [Mar 23, 2021]

第46期棋王戦五番勝負(2021/2/6-3/17)
渡辺明棋王 O 3-1 X 糸谷哲郎八段

第1局を糸谷八段が制した時はバージョンアップなったかと思われたのだけれど、第2局から渡辺が3連勝で終わってみればあっさり防衛。渡辺はこれで棋王9連覇となった。ちなみに、棋王戦の最長記録は羽生永世棋王の12連覇である。

この両者の対戦成績は番勝負前の段階で渡辺15勝、糸谷5勝。王将戦の渡辺・永瀬同様に大差で渡辺棋王がリードしている。糸谷八段には申し訳ない言い方だが、番勝負で渡辺名人・棋王に勝てるイメージが思い浮かばない。

永瀬王座なら、展開がはまれば何とかするかもしれないという期待があるけれども、糸谷八段では一つ二つは入れられるかもしれないがそれ以上は無理と思わざるを得ないし、事実そのとおりの展開となった。

糸谷八段は早指しのイメージがあるけれども最近スタイルを変えていて、「時間の使い方に注目してほしい」とのコメントがあったように糸谷の消費時間の方が多かった場面もみられたのだが、空回りしてしまったようだ。

第1局では渡辺棋王有利の将棋からうやむやの展開に持ち込み、最後は逆転で幸先いい一勝をあげた。なるほどイメージチェンジと思ったのもつかの間、締めてかかった渡辺棋王に第2局から3連勝されてしまった。

王将戦でも触れたように、渡辺棋王は自分より若い相手との番勝負に絶対的に強く、敗れたのは藤井二冠だけである。これでタイトルは28期となり、羽生・大山・中原に次いで単独4位となった。しかし、次の中原十六世名人が64期なので、いまの倍獲ってもまだ届かない。

渡辺名人・棋王の持ち味は何といっても攻め。細い攻めを繋げることには定評があり、一度踏み込んだら容易に切れない。そのタイミングがまたすばらしく、分かっていても受けきれないというケースが多い。

課題があるとすれば棋戦によって得意・不得意が極端に分かれることで、竜王・棋王はかなり前に永世資格を取っているにもかかわらず、名人はいまが初めてだし、王位はまだとっていない。王座・棋聖も1期だけである。

LIVE中継を見ていると、どうも花粉症の時期が苦手のように見えるのだが、あるいは競馬のクラシックシーズンはいろいろ気が紛れるというのがあるのかもしれない。次の名人戦もきっちり防衛しそうだ。

敗れた糸谷八段。基本的に受け将棋なので、事前研究よりも実際の対局でどうやって自分の土俵にひきずり込むかが重要となるが、その前に相手の攻めが筋に入ってしまうケースも少なくない。これからますます若手が台頭してくる中で、タイトル戦線に再浮上するのは容易ではない。

関西勢躍進のキーとなった一人であるが、竜王を獲ったあたりで伸びが止まってしまったような印象がある。兄弟子の山崎八段同様に力戦が得意だが、山崎ほどの独創性がないのが難点ではある。再度の奮起を期待したい。

渡辺棋王は来期区切りの10連覇が懸かる。永瀬王座がベスト16から、藤井二冠も本戦シードされるので、この両者が次期挑戦者の本命・対抗であることは間違いないだろう。今年同様王将戦とのダブルスケジュールとなるので、渡辺棋王にとっても試練となりそうだ。

[Mar 26, 2021]


第46期棋王戦五番勝負、第1局を逆転負けした渡辺棋王だが、その後は攻めが止まらず3連勝で防衛、タイトル9連覇となった。第4局は両端を突き越されながら5六歩打が急所。▲同歩は△3九角、▲同馬は△5二飛で、どう受けても先手陣が崩れる。