057 リタイアは早い方がいいと改めて思う [Apr 6, 2021]

FIRE(ファイアー)はFinancial Independence and Retire Early(経済的独立を達成し、アーリーリタイアする)の略で、もともとアメリカで広まった考え方である。

私の若い頃からすでに言われてきたし、いまでも、My Self Relianceなど、まさにそうである。

アーリーリタイアした人の何割かは再び現役生活に戻るというが、人生そう思い通りに進む訳ではないし、私だってこれから再就職せずにいられない境遇にならないとは限らない。とにかく、いったんリセットすることが大切なのだと思う。

この間、いまのほとんどの会社はゼロサムゲームを戦っているだけということを書いた。自分の時間や体力、資産を賭け金に戦っているゼロサムゲームなのだから、続けていれば身ぐるみ剥がされるリスクは当然ある。

「生涯現役」などと言っている人の多くは、組織に属することはノーリスクで収入だけ安定して入ってくると思っているようだが、それは甘いというものである。春の夜の夢、風の前の塵と同じである。

若い頃は自分の可能性を信じているから、挑戦することにも意義があったかもしれない。少なくとも、歳とってから後悔しないという意味はあったのだろう。しかし、この歳になって無理して重いものを持つ必要はなさそうだ。

どんなに偉くなったりカネ持ちになったとしても、200年も経てば誰も何も覚えていない。里山を歩いていると200~300年前の庚申塔や二十三夜塔、馬頭観音をよく見るけれども、誰がどういう思いで建てたものなのか、誰も個人名の記憶まで持たない。

平安の昔から、ある程度の年齢になったらあとは後世のために祈る生活を送ることが望ましいとされてきた。幸いに、これまで働いてきたおかげで何とか暮らしていける収入があり、住む家があるのだからそれ以上求めるのは贅沢である。

リタイアは早い方がいいというのは、そういうことを考える時間が長ければ長いほどいいからである。現役時代は考えることが多すぎて、立ち止まって考えることができなかった。カネ儲けのゼロサムゲームのことを考えるだけ無駄なのに。

いまこうして自らを振り返ると、会社で送った日々は必要だったけれど無駄だったと理解するまで何年もかかっている。たまたま身ぐるみ剥がされなかっただけで、もしかすると破滅はすぐ隣まで来ていたかもしれない。

わずかでも蓄えがなければ仕方がないし、私だってローンがなくなって子供が独立しているからリタイアできた。それまでの間やむを得ず現役でというのは分かるが、地位や名誉やよりよい収入を求めるなら、それははっきり言って無駄である。

ゼロサムゲームだから、運のいい奴は大層偉くなるかもしれない。それだって、200年も経たないうちに誰も覚えちゃいない。そして、大多数の運の悪い奴は、張ってきた賭け金をすべて失って終わるのである。

いまの時代、後世を祈るといっても南無阿弥陀仏だけ唱えていればいいというものでもない。これから先の世界について考えたり、ひるがえって自分のこれまでの歩みについて考えたり、すべきことはたくさんある。

そして、生きている間はできるだけ苦しまずにいたい。そのためには、カネよりも心身の健康である。心身の健康を保つためには、無用のストレスから遠ざかるのが一番有効である。

[Apr 6, 2021]


リタイアは早い方がいい。60歳を過ぎると2%以上の確率で1年以内に当り籤を引く。ゆっくり考える時間がないうちに当り籤を引くのは、悲しいことである。