105 オリンピックいよいよ中止か [Apr 20, 2021]

先週、自民党の二階幹事長から「感染状況が深刻なら、オリンピック中止も選択肢」という発言があった。

この期に及んで、オリンピックができる訳ないというのは大方の予想するところで、発言内容に新鮮味はない。むしろ、なぜいまの時期に、自民党首脳からこの発言があったか、それを受けて関係者がどう反応しているかを考えることが、水面下で進んでいる事態を理解する助けになるように思う。

予定通りオリンピックが行われるとすれば、3ヶ月後である。選手は選手村に入ればいいとして、役員・審判団はどうするのか、ブレス、放送はどうするのか、彼らの検査体制はどう組んで、陽性の場合どう対応するのか、とてもいまからでは無理なのである。

どうしてもやろうとすれば、限られた国と地域、限られた選手団で、大会規模を大幅に縮小してやるしかないが、日本と中韓、アジアの何ヵ国かで開催する競技大会をオリンピックと呼ばせてもらえるのかどうか。モスクワは共産圏だけでやったけれど、いまの時代儲からなければIOCは納得しない。

海外からの観客受け入れはすでに断念したものの、プレスやTVスタッフを入れない訳にはいかない。それにしたところで、アメリカから選手団が来なければアメリカの放送局は来ない。放送局からカネが入らなければ、IOCに儲けは絶対ないのである。

海外ニュースをみれば、いま主要国の関心はコロナ一色で、検査は当然でワクチン投与をいかに進めるかに移ってきていることが分かる。少し前はアストラゼネカが英国だけ出荷してけしからんと言われていたのが、いまや副作用が出るのでアストラゼネカは余ってきている。

2回ワクチンを打った人は動き回っていいのかどうか、その証明を各国間でどう共有するのか、移動した人にどの程度の隔離措置を義務付けるのか、まだまだ解決すべきことは多い。対応を誤れば死者急増の危機であり、政権が吹っ飛ぶのはどこの国も変わらない。吹っ飛ばないのは、中国と北朝鮮だけである。

日本の宿泊施設にしたところで、本当に多くの選手・役員・審判団・ブレス・TVクルーが来るなら、食材の手配から人の手配、外国語対応や陽性者が出た場合の措置など、準備しなければならないことは山ほどある。来る方は直前でもキャンセルすれば終わりだが、迎える方は食べるものはありませんスタッフもいませんでは済まされない。

そうした事情を鑑みるに、そろそろ正式にどうするか決めろという突き上げが政府・自民党にあったことは間違いないだろう。そして、中止するにせよ縮小大会にするにせよスポンサーであるアメリカの意向がすべてだから、首相の訪米でそのあたりが話し合われた(というより指示を受けた)のもまた間違いない。

だから、いまの時期なのである。政府としては「やるって言ってるでしょう」としか言えないから、観測気球を上げるにしても自民党からということになる。

日経ビジネスで小田嶋氏が小池百合子が「都民の安全が確保できない」とオリンピック中止をぶち上げる可能性を指摘していたが、首相周辺としては反主流派(石破とか)や小池百合子に注目が集まるのは避けなければならない。

関係者の反応も予想どおりで、「中止なんて縁起の悪いことは言うな」とは誰も言わなかった。政府、組織委員会関係者はコロナ感染を終息させることが第一、すべての可能性を考えて準備し判断するという内容であり、野党は四の五の言ってないでさっさと中止しろと言っている。

もしゴールデンウィーク前に大阪の感染爆発が東京に波及すれば、その時点で緊急事態宣言再発、オリンピック中止とせざるを得ないだろう。組織委員会だってヒト・モノを確保しなければならないから、そのあたりが決定のタイムリミットになる。

世界的なコロナ感染は日本政府や組織委員会の非ではなく、中止になったとしても彼らの責任は限定的である。だが、中止決定が遅れて混乱したり、開催を強行して感染爆発を招けば彼らの責任である。

わが国には昔から「不徳の致すところ」という言葉がある。何か判断を間違えたたから悪い結果になったとは限らない。いるべき人がいなかったり、いてはいけない人がいることが悪い結果を招くのである。そして、「塞翁が馬」という言葉もある。何がよくて何が悪いかはずっと後にならないと分からない。

[Apr 20, 2021]


とうとうオリンピック中止について自民党から発言が出てきた。政府が言えないから自民党から言うしかないだろうけど。