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将棋

128 第70期王将戦、渡辺王将4-2で永瀬王座を退ける [Mar 19, 2021]

第70期王将戦七番勝負(2021/1/9-3/14)
渡辺明王将 O4-2 X 永瀬拓矢王座

第70期王将戦は、激戦の挑戦者決定リーグを永瀬王座が勝ち上がった。四強同士の番勝負であり、2020年叡王戦同様の激戦が予想されたのだが、意外にも渡辺王将が第1局から3連勝、早々と防衛に王手をかけた。

もともと渡辺王将は永瀬王座に相性がよく、七番勝負開始前で渡辺10勝、永瀬3勝、1千日手と差が開いていた。通算勝率7割を超える永瀬王座にしては意外な大差で、内容的にも渡辺王将が一気に攻め勝つ将棋が多い。

そして、渡辺王将にとって課題であると思われた棋王戦とのダブルタイトル戦だが、棋王戦が始まる前の1月中に3-0と差を開いたことも大きかった。2月には棋王戦が始まるが、永瀬王座もA級が懸かる順位戦の大詰めで、両者ともスケジュール的に余裕がない。

さすがにストレートとはいかず、第4局は永瀬王座が完勝した。角道を止めて急戦を回避してから時間差で矢倉に組み、飛車が動いた後の左辺を制圧して渡辺王将から久々の勝利となった。

この前後は渡辺王将がハードスケジュールで、前の週に棋王戦で糸谷八段に、2日前に朝日杯で藤井二冠に敗れて臨んだ第4局だった。特に、2日前の藤井二冠戦は持ち時間の短い将棋にはもったいない大熱戦で、おそらく疲れも残っていただろう。

第5局も永瀬王座の研究手順だったようで比較的短手数で勝負がつき、第6局が正念場と思われた。渡辺王将は前の週に棋王戦第3局、棋聖戦本戦があって中2日のスケジュール、永瀬王座はB1最終局から移動日を挟んでの対局である。A級昇級の懸かった大事な一局から翌々日の対局はきつい。

そして迎えた第6局はなんと千日手指し直しとなる。後手番の渡辺王将が主導して千日手の手順に持ち込んだのだが、まあ後手番であればそういう考え方はある。ただし、千日手は永瀬挑戦者の土俵という見方もあるから、成り行きが注目された。

しかし、さすがに渡辺王将、千日手局に続く角換わりで、封じ手前後に決行した端攻めが止まらなかった。永瀬王座もあえて金を取らせる受けで意表を突いたかに見えたが、得意の泥仕合には持ち込めなかった。

渡辺王将は36歳。名人、棋王でもあるので現在三冠である。番勝負に圧倒的に強く、ここ3年程で番勝負で敗れたのは昨年棋聖戦の藤井七段(当時)だけ、その前となると2017年の竜王戦で羽生永世七冠に敗れた時まで遡らなくてはならない。

特筆すべきは自分より若い対戦者との番勝負では、藤井二冠以外誰にも負けていないということである。まだ全然老け込むような年齢ではないし、現在の名人でもある。無人の野を行くが如き藤井二冠の前に立ちふさがってほしいものである。

※ 王将戦は棋譜利用ガイドラインによりブログでの棋譜利用が認められていないため、残念ながら途中図を掲載いたしません。

[Mar 19, 2021]