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将棋

130 第62期王位戦、挑戦者は豊島竜王 [May 28, 2021]

第62期王位戦挑戦者決定戦(2021/5/24)
豊島将之竜王 O - X 羽生善治九段

第62期王位戦リーグは大混戦だった。予選から勝ち上がったメンバーが強力だったことに加え、澤田真吾七段、佐々木大地五段が大健闘、紅組・白組とも4勝1敗者が単独優勝という結果となった。

ここ数年の王位戦リーグでは、5戦全勝の勝ち抜けが多かった。4勝1敗だとプレーオフ、3勝2敗ではリーグ陥落が普通で、4勝1敗で単独優勝、3勝2敗で残留というのは珍しい。

また、王位戦リーグは前期順位より直接勝敗が優先されるので、3勝2敗の同星ながら前王位の木村九段、前期挑戦者決定戦に残った永瀬王座が陥落という結果となった。残留したのは決定戦進出の両者と澤田七段、佐々木大地五段。澤田七段は第58・59期に続き、大地五段はリーグ4期目で初の残留となった。ともに、王位戦はたいへん相性がいい。

挑戦者決定戦に残ったのは、ともに王位経験のある豊島竜王と羽生九段。豊島竜王は叡王でもあり現在二冠、羽生九段はタイトル99期で足踏みしているが昨年の竜王挑戦者、もちろん永世王位である。

振り駒の結果羽生九段の先手となり、相矢倉となる。羽生九段は1筋を突き越し、豊島竜王は香を9二に上がって雀刺しの気配をみせる。羽生が歩を突き捨てて先攻するが、豊島がっちり受けて隙を見せない。

羽生が1四に香を上がったあたりからの豊島の指し回しが絶妙だった。羽生の飛車を攻めて、ついに逃げる場所をなくしてしまうのである。相手の攻め駒を攻めるのは昨年十番勝負を戦った木村九段の得意技である。

飛車を取った後は敵陣を攻めずに1筋に香、飛を成り込み、入玉を阻む駒がない状況を作り上げた。長手数も持将棋もどんとこいというのは、木村九段だけでなく昨年九番勝負を戦った永瀬王座の独壇場である。

こうしてみると、昨年大苦戦を余儀なくされた両雄の得意技を吸収し、さらに芸域を広げたようにみえる。さすが豊島竜王、名人を獲り竜王を獲り、さらに上昇している。

これで、来月から藤井王位との七番勝負である。藤井王位は渡辺名人を挑戦者として迎える棋聖戦五番勝負とのダブル日程となり、2日制ということもあってスケジュールはきついことになる。

藤井二冠について、昨年度の勝率8割は難しいと予想したのだが、あっさり達成してこれで連続4年8割である。その原動力のひとつとなったのは、棋聖戦・王位戦のダブルタイトルで7勝1敗だったことが大きい。

だが、さすがに今年は7勝1敗で通過するのは難しいだろう。まして、豊島竜王が長手数にも習熟してくるとなると、時間がなくなることの多い藤井二冠にとって厳しい展開となることもありうる。

王位戦七番勝負は6月29・30日、名古屋市で開幕する。

[May 28, 2021]

第62期王位戦挑戦者決定戦は、相矢倉から豊島竜王が1筋を突破、入玉を確定して羽生九段を投了に追い込んだ。木村九段、永瀬王座と激闘を繰り広げる間に、芸域を広げたことを示した。藤井二冠との決戦が楽しみ。