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721 日光湯元温泉 [Jun 30, 2021]

 

※ 奥日光湯元をはじめとするおおるり旅館グループは、2021年8月末で塩原おおるり、草津ニュー紅葉の2館を除きすべて閉館することとなりました。本当に残念です。また泊まろうと思ったのに。割引券もあるのに。

先月、男体山に登るため日光湯元温泉に宿泊した。

日光湯元に泊まるのは約40年振りで、3度目である。最初は小学校の修学旅行で52年前になる。12年くらい後に、最初に就職した会社の課内旅行で泊まった。いずれの回も、温泉でゆっくりするというより仲間で騒ぎに行ったようなもので、どういう景色でどういう旅館だったかほとんど覚えていない。

だから、今回戦場ヶ原を越えて湯ノ湖が近づいたとき、あまりの雄大さに驚いてしまった。湖畔に並ぶ温泉街からは、後方左から日光白根山、温泉ヶ岳(ゆせんがたけ)、さらに右に山王帽子山から太郎山へ連なる峰々が続くという、まさに圧巻の風景なのである。

これほどすばらしい景色を、ずいぶん昔とはいえ2度も来ておきながら全く記憶にも残っていないとは不覚である。とはいえ、この歳になっても新しい収穫は喜ぶべきことだ。

温泉街に入るとすぐ硫黄臭が漂っているように、基本的には硫酸塩泉である。温泉街の東寄り、湖から少し入ったところに共同源泉があり、各旅館に供給されている。大規模なホテルでは別に自前の源泉を持っていて、微妙に成分が違うようである。

私の泊まったおおるり山荘にも何本かの源泉があり、成分表は共同源泉と3本の自家源泉をまとめて掲示されている。多い成分は硫化水素・炭酸水素-ナトリウム・カルシウムで、硫酸塩泉と炭酸水素泉の性格を併せ持っている。

硫黄らしく白濁したお湯だが、それほど濃くはない。そして、湧出温度がそれほど高くない(約43℃)ため、熱く感じることはない。夜中にボイラーの響く音がしたので、加温しているのかもしれない。

こちらの温泉は夜中でも温泉に入ることができる。ありがたいことである。自然温泉であれば当り前のようだが、防犯上の問題はともかく供給量の問題から、入浴時間が制限されているところが少なくない。

朝、露天風呂に入りに行ったところ、まさに正面に温泉ヶ岳を望むすごい景色で、しばし時を忘れて見とれてしまった。

もっとも、以前訪れた旅館はもう少し奥にあるため、露天風呂からこのような雄大な景色を望むのは難しいようである。小学校の時に泊まった板屋旅館はコロナの影響か、「本日お休みさせていただきます」の札が下がっていたし、社会人になって泊まったであろう一角もあまりひと気がなかった。

代わりに、奈良市内でもないのにシカが道の真ん中を堂々と歩いていたし、温泉寺の前では疾走するタヌキを、湖畔では顔を洗いに来ているサルの群れを見かけた。

湯ノ湖に沿って、収容人員200~300ありそうな大規模ホテルが7つ8つ並んでいるのだが、それほど集客できるように見えない。昔なら社内旅行や修学旅行で大口需要があったのだろうが、現状それも難しい。

頼みの綱は海外客で、泊まったホテルにも中国語・韓国語で案内が書かれていたのだけれど、コロナでもちろん来ておらず日本人シニア客ばかりだった。

ただ、一時期北海道が中国人客ばかりになって雰囲気がよくなかったので、年寄りが遠慮しながらしゃべったり館内をマスクして歩いたりするのを見るのはほっとする。こういう雰囲気で、ずっとやっていけたらいいのにと思う。

ところが実際には、ここと立地がよく似た温泉街である阿寒湖温泉には閑古鳥が鳴いており、しばらく前だがそこら中が休館・閉館となっている状態であった。それも、何階建ての大きなホテルに建て替えて何年もしないうちにである。

はじめから、大規模な投資などしないで小規模に続けていればよかったと思うが、そうはできない人間の悲しさということになるのだろうか。

[Jun 30, 2021]

お世話になったおおるり山荘。日光湯元温泉に来るのは3度目ですが、ゆっくり風景を楽しめたのは初めてです。

翌朝、温泉街を歩くとシカもお散歩中でした。サルとタヌキにも出会いました。