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半世紀前の話

190 肝油・疳の虫と言われた思い出 [Jul 14, 2021]

配置薬、赤チンと書いてきて、そういえば最近ほとんど聞かなくなったのが肝油だな、と思い出した。

何しろ私が小学生の頃には、給食に肝油が出た。いまでも、ヤクルトが給食に付くことは珍しくないと思うけれども、ちょうどそういう位置づけで、肝油を飲まされていたのである。

当時、肝油はサメの肝臓から抽出されたと聞かされており、熊の胆(クマの胆のう)みたいなものと思って飲んでいた。ところが実際にはビタミンAやビタミンD、必須脂肪酸(EPAやDHA!)を豊富に含んだ栄養食品であり、現在のサプリメントを先取りしたものであった。

昔は本当にサメやタラなどの魚から抽出していたそうだが、それだけだと臭みが残るので、ある時期からビタミン類を調合して砂糖で甘みを付けた食品となった。給食で出されたのも、おそらくそれだろう。

1960年代の子供たちはいまほど栄養状態がよくなくて、ビタミン類の不足による病気がよく発生した。ビタミンAの不足によるトリ目(暗くなると目が見えにくくなる)や、ビタミンB1の不足による脚気は、いまよりずっと切実であった。

だから給食で出すこともそれなりに必要だったのだが、いま学校でマルチビタミンやEPA・DHAの錠剤を出すという話はあまり聞かないので、ちゃんと食品から摂りましょうということになったのだと思う。昔はカロリーを充たすだけで精一杯で、そこまで気を使うこともできなかったしい。

私事だが、学校給食だけでなく家でも肝油を飲まされていて、それは「お前のように疳の虫のある子は、肝油を飲みなさい」と親に言われたからであった。

「疳の虫」などという言葉は、今日では宇津救命丸の宣伝くらいしか聞いたことがないが、基本的には夜泣きとかそういうことである。夜泣きをする訳でもないのにそうしたことを言われたのは、確かに勘の強い、自己主張する子供だったからだろう。

その時は、別に虫がいるからこうなるんじゃないと思ったものだが、いま調べるとEPAやDHAは精神症状全般に効果があるとされているので、まんざら嘘でもないらしい。

当時の自分を振り返ると、いまならアスペルガーや適応障害と病名がつけられただろうと思うが、本人からすると正しいと思うことを主張しただけである。確かに共同生活は苦手で、それはいまだに変わらない。

肝油だって、「これはサメの肝臓からできた体によいものだ」と言われるから気持ち悪いので、「きちんとビタミンをとらないと病気になりやすい。これは清潔な工場で抽出されたビタミン剤です」と言われれば、ちゃんと納得したと思う。

子供に説明するのは難しいから適当言って飲ませようとするから、勘の強い子はますます抵抗するようになる。まあ、そんなにまずくはなかったけれど。

[Jul 14, 2021]

肝油はいまでも定番商品のようですが、給食にも出るのだろうか。