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なんとなく思うこと

126 日本中が廃墟だらけになる [Oct 27, 2021]

最近、YouTubeで鬼怒川や塩原温泉が廃業したホテルだらけという動画を見た。ホテルおおるりも廃業して、ますます廃墟が増えそうだ。

観光需要が伸び悩むのは、社内旅行もなくなったし家族旅行も少なくなったから仕方ない面もあるが、温泉街の惨状は半分以上人災である。というのは、経営破綻して一時国有化された足利銀行が、滅多やたらに貸し込んだ果てが今の姿だからである。

私自身、バブルの頃銀行にいたので、当時の雰囲気はよく分かる。売上が毎年2割増でそれが何年も何十年も続くという前提で、借りてくれるところにはいくらでも貸す。それに疑問を持つ担当者は銀行員でないという風潮だった。

貸し込む先が都市部の案件であれば、あるいは将来挽回のチャンスがあるかもしれないが、田舎の温泉街に過大投資をしてそれが戻ってくる可能性はきわめて小さい。競売したって売れないから貸し倒れるしかないし、だから足利銀行は潰れたのである。

東武線の鬼怒川公園駅近くの道路際に、廃墟となったホテル群を見ることができる。動画では2000年代に入ってから破綻したように書かれていたが、記憶ではバブル後まもなくから開店休業状態であった。ということは、新規設備投資して何年もしないうちに使われなくなったということである。

同じようなことは、過去にもあった。吸収合併されてしまった北海道拓殖銀行はかつて北海道の指定金融機関で、道内ではダントツの銀行であった。

道内でというのは戦後の話で、戦前には千島・樺太にも北海道拓殖銀行の支店は置かれていた。それほど大きな銀行がなぜ破綻したかというと、バブルの影響もあるけれども、旧態依然の石炭産業向け融資がほとんどすべて貸し倒れてしまったからである。

足利銀行の融資が鬼怒川沿いの廃墟となったのと同様、北海道拓殖銀行の融資はいまや誰も行くことのできない炭鉱施設として地下に眠っている。もう石炭がないから掘らないのではない。外国からもっと安く手に入るようになったからである(環境問題があるので、石炭の世の中に戻る可能性はほとんどない)。

カネに目がくらんだ連中にとって、炭鉱設備に投資すれば必ず元がとれるし、ホテルに投資しない奴はバカだと思ったからそうしたのだろう。頭が悪いと言ってしまえばそれまでだが、当時は高学歴なエリートが率先してそういうことをしていたのであった。

当時私が、「将来にわたって売上が2桁で伸び続けるというのは、おかしいんじゃないですか」と言ったところ、「お前はバカか。そういう稟議書書いて、貸しゃいいんだよ」と言ったのは本郷にある大学を出たエリートであった。

ひるがえって、いま環境保全だの低炭素社会だの、地球温暖化防止に大枚をはたいているけれども、その行く末がどうなるかは何ともいえない。

全国津々浦々にある太陽光発電装置が、誰もメンテする人もなく打ち捨てられる可能性は決して低くないと思う。現に、砂防ダムだってほぼそういう状況である。何十年経ってみたら、鬼怒川のホテル群や地下の炭鉱施設と同じことになっているかもしれない。

この先五十年も生きていられるなら、どういう投資をすれば五十年後に残っているか必死で考えるだろうが、自分自身がいない遠い未来のことを考えても仕方がない。生きているだろう人達に考えてもらえれば幸いである。

[Oct 27, 2021]

YouTubeを検索すると、かつて温泉街として栄えた鬼怒川、塩原あたりの廃墟群を撮影した動画がすぐ見つかる。ホテルおおるりも閉館して、ますます廃墟が増えるのではないかと心配である。