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なんとなく思うこと

132 紅白歌合戦の起源 [Dec 30, 2021]

NHKの会長が紅白出演歌手について訊かれて、「年寄りだからよく分かりません」と答えたそうだ。

組織トップが自社製品をそう言っていいのかどうか疑問だが、正直なところシニア世代が知っている歌手は半分もいない。以前から「紅白不要論」はあるけれども、もしかするとコロナを機にNHKでも廃止を検討しているのかもしれない。

紅白歌合戦のスタートは1951年というから、かれこれ70年続いていることになる。とはいえ、1950年までは今のような形ではやっていなかったということだから、やらなくたって困るということはない。そもそも、公共放送で視聴率をとる必要なんてない。

宮本常一の本に書いてあったのだが、歌合戦を「紅白」、つまり男女対抗でやるというのは、江戸時代の村落共同体に起源があるそうだ。当時はTVもラジオも新聞もないので、祭りとか田植えとか、そういったことしかイベントがなかったのである。

そして、なぜ男女で対抗したのかというと、どちらがより上手いかで体を賭けてやっていたそうなのである。宮本常一は全国各地の村を回ったから、その頃まだ生きていた明治以前の年寄りに聞いたのである。

どんな世の中だって気晴らしは必要だし、大声を出して歌うだけだってストレス解消になる。まして、働くのも暮らすのも狭い村の中で完結している世界である。いつの時代だって、誰でもお行儀よく生きられる訳ではない。

昨今の不要論の論拠のひとつが、男女平等の現代に性別で区分して対抗する意味があるのかということがある。しばらく前から、男女デュオや混成グループをどちらの組にするかという議論はあった。デュエットは紅組、グループは白組に予定調和することが多いのだが。

とうとうテレビ体操も男がやる世の中になったのだから、そろそろ紅白も終わりにする頃合いなのかもしれない。1951年にはまだ色濃く残っていた日本のムラ社会も、すでに限界集落になってしまった。

歌合戦だけ続けるかというと、これがまた難しい。東西ではバランスがとれないし、男女差別をやめたのに出身地で差別するのかというクレームも出そうだ。五木組と和田組でドラフトするというやり方は、NFLがプロボウルでやって1年でやめたようにうまく行かない。

密を避けるという大義名分があるのだから、この際すぱっとやめて、大河ドラマの総集編でも流しておけばいいのではないかと思う。芸能事務所はたいして困らないし、歌手も年末のスケジュールが空く。年寄り向けには、きっとテレ東が歌番組をやってくれるだろう(いまもやっているが)。

[Dec 30, 2021]

1951年開始というから、もう70年続いている偉大なるマンネリ番組・紅白歌合戦。その起源は江戸時代の村落共同体にさかのぼるらしいけれども、そろそろやめ時かもしれない。