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BOXING

105 ファイトマネー世界一カネロ、ビボルに歯が立たず [May 14, 2022]

WBA世界ライトヘビー級タイトルマッチ(2022/5/7、米ラスベガス)
ドミトリー・ビボル O [判定 3-0] X カネロ・アルバレス

久しぶりにボクシングの話題。フィリピン大統領選に出たパッキャオの引退後、ファイトマネー世界一の男となったカネロ・アルバレスの「シンコ・デ・マヨ」(メキシコ独立記念日)恒例の試合、YouTubeにDAZNでない映像がupされていたので見ることができた。

結果的にいうと、ライトヘビーの安定王者ビボルに歯が立たない敗戦であった。私の採点では117-111ビボル。好意的に見てもあと1ラウンドがせいぜいで、115-113という接戦には全く見えなかった。

そもそも、体格的にスーパーウェルター(154ポンド)のカネロが、おそらく筋肉増強剤を使ってウェイトを上げ、ライトヘビー(175ポンド)で戦うこと自体無理がある。体格的に上の選手がジャブを使えば、至近距離から強打を決めることは難しい。

加えて、ライトヘビーで下り坂のコバレフをKOして自信満々で試合に臨んだせいか、ボクシングそのものが横着になっていた。ジャブや出入りをほとんど使わず、ボディやガードの上からでもフックを叩き込めば終わりと思っていた節がある。

事実、スーパーミドルの選手には、そうやって勝ってきた。こんなもんで倒れるのかと興ざめする思いでこれまで見てきたが、ちゃんとしたボクサーにはやっぱり通用しなかった。

スーパーミドルでも、かつてのロイ・ジョーンズとか「スーパー6」のアンドレ・ウォード、コブラ・フロッチの時代と比べて、いまのスーパーミドルのレベルは落ちている。4団体統一とか、あまり威張れることでもないように思う。

そして、少なくともメイウェザーとやる頃、20代前半までのカネロはスーパーウェルター級、骨格的には154ポンドしかないはずである。20ポンド増えたのはすべて筋肉で、パワーや耐久力は増したとしても射程距離が長くなった訳ではない。

長年ボクシングを見てきたが、複数階級制覇に意味があるのは軽量級で5階級、重量級で3階級がせいぜいである。つまり、体重差15ポンドくらいまでが増やせる限度と考えられる。パッキャオにしても、ライト級より上ではほとんどKOできていない。

今回のカネロはボクシング自体が横着で、ジャブをほとんど使わず接近してフック空振りばかりだった。クリーンヒットはほとんどなく、取ったラウンドはビボルが警戒して守りに入っただけのように見えた。

一方のビボル、主武器がワンツーストレートで一発がなく、破壊力はライトヘビーの水準以下ということでカネロ陣営は選んだのだろうが(確かに、ベデルビエフのような破壊力はない)、懐が深い上にテクニックもあり、さすがに無敗でここまで来ただけのことはある。

戦略的にもしたたかで、序盤では腰を落として一発を警戒し、中盤以降ペースを握るとフットワークを使って接近を許さなかった。クリーンヒットも全然多かったが、軽打が多くジャッジ受けはしなかったようだ。

今回の試合ではカネロのクリーンヒットをほとんど許さなかったが、同じようにボディやガード上からのフックだけでひるむ選手も多くいるのだから、耐久力も水準以上あるのだろう。

カネロ陣営としては、独立記念日に恥をかかされたので再戦ということになるのだろうが、ビボルが油断しない限り、違う結果にはならない可能性が大きい。

間違いなく言えるのは、パッキャオのようなマッチメークで人気が上がるのはパッキャオのボクシングに魅力があったからである。筋肉増強剤でパンチ力を付けても、面白がるのは地元メヒコのファンだけである。

[May 14, 2022]

カネロvsビボル戦。カネロはライトヘビー級初試合という訳ではないのに、ファイトマネーに見合わない完敗。楽勝続きで、ボクシングが横着になった気がする。