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半世紀前の話

310 アマチュア無線 [May 18 , 2022]

先日、知床観光船沈没のことを書いていて、そういえば昔アマチュア無線が流行ったなあと思った。船舶無線や航空無線などの業務用無線とアマチュア無線は違うけれど、半世紀前にはたいへん先進的な技術と思われていたのでした。

当時、通信教育や資格取得というと、必ず出てくるのがアマチュア無線だった。資格を取るためには技術や規則を覚えなければならないし、その上で機械を購入しなければ使えない。頭脳だけでなく資金力も求められる趣味であった。

当時の小中学生の多くはトランシーバーにあこがれ、離れていても話ができるというのは本当に次世代の技術と思っていた。携帯電話どころかほとんどの家に固定電話さえ通じていない時代である。

だから、実際に資格を取って、自宅に無線装置を揃えて送受信できるのは、本当に限られた人達であった。いわゆる、高尚な趣味であった。そういう人達は当然秋葉原も大好きで、電車代を工面して電気街をうろついたはずである。

私はどちらかというと文系なので、秋葉原の電気街よりも神田の書店街の方が好みだったが、その気持ちはたいへんよく分かる。おそらくそういう人達は、受信機・送信機の前で一日過ごし、このコールサインは誰で、どういう奴だなどとリストを作っていたに違いない。

ところが、いまや通信教育やカルチャーセンターでアマチュア無線が注目を集めることはほとんどない。LINEやツイッター、フェイスブックによって、スマホさえあればほぼ同じことができるからである。

だから、いまや無線の資格といえば、職業上の必要による船舶無線や航空無線のことと思われている。アマチュア無線愛好者の多くは、私よりも上の年齢層の人達である。

アマチュア無線の盛衰を思うと、いま最盛期を迎えている技術も、半世紀後にはout of dateになっているかもしれない。今こうして書いているブログも、その候補のひとつだろうと思う。

ただ、希望的観測を込めて言えば、ブログというものは「つながる」ことよりも「自分の考えを伝える」ことに比重を置いている。もし仮に誰も読んでいないとしても、私はブログを書き続けるだろう。(「お客様は神様」というのは、本来そういう意味だと聞いた)

ブログはアマチュア無線というよりも、壁新聞とかガリ版刷りに似た要素が多いのかもしれない。壁新聞やガリ版刷りももちろんout of dateなのだが。

[May 18, 2022]

受信機・送信機を揃え家にアンテナを立てて、「CQ CQ」なんてかっこいいなあと小さい頃思ったものですが。(写真:無線機歴史博物館)