カテゴリー
年金生活編

090 気が滅入って仕方がない [Jun 30, 2022]

65歳になって加給年金が入れば楽になるとずっと思っていた。しかし、実際になってみると予定より少なくて、資金繰りの苦労は変わらない。楽しみにしていた分、がっかりして気が滅入ってしまっている。

年金が増えれば、もう少し余裕ができるし、外出するにも気兼ねがなくなる。月々わずかでも蓄えができれば、しばらく行っていないお遍路にも旅行にも行くことができると楽しみにしていた。

ところが、実際には加算されるのが1ヶ月遅かったし、増えるのを見込んで生活費をマイナスにしていたことも影響している。引かれる方は国保保険料が増えるだろうから、ちっとも楽にならない。

じゃあ働けばいいじゃないかということだけれど、働けばそれだけストレスが増えるし、収入が増えただけ支出も増える。それは、サラリーマン生活で身に染みている。ベストの選択は、入って来るおカネの範囲内で暮らすことに尽きる。

落ち着いて考えれば、できると思ってできなかったことの主なものは、酒とか嗜好品を買えないことと、交通費をかけた外出が難しくなったことである。いずれも、なければないで済むものである。

iPADのバッテリー入れ替えも、やろうと思ったまま延び延びになっている。パソコンやTVなどの買い替え積立ても、家計費に補填してマイナスの状態である。壊れないように祈るしかない。

車も10年以上経って、いろいろ不具合が出てきている。これから先、車検費用も増えるだろうし税金も増える。買替え資金がないことは、耐久消費財と同様である。

もっとも、江戸時代だって昭和初めだって、そういう資金が用意してある家などほとんどなかったはずで、いつの時代でもどこの家でも、綱渡りで生活してきただろう。食べる心配をしないだけ、ましなのかもしれない。

それでも、この歳まで生きてきて、まだ心配しなければならないのには気が滅入る。「生きる」というのは「悩む」ことだと、山岸凉子の妖精王に書いてあったことを思い出した。

妖精王が連載されたのは「日出処の天子」の前だから、もう50年近く前のことになる。いまだにAmazonで入手可能なのには驚く。

この間、気が滅入って仕方がないという記事を書いた。ちょっと書き足りない気がしたのでもう少し補足。

われわれの年代で気が滅入るというのは大変よくないことで、ほっておくと老人性うつになってしまう危険がある。若い時であればそのうちまた新たな局面が生まれてくるが、この歳ではそれもない。自分で気を取り直さなければならない。

本で読んだのだけれど、老化がどこから始まるかというと、身体機能の衰えや記憶力・判断力の低下に先立って、感情の老化が始まるそうである。

感情の老化というと、年寄りが頑固になるとか、怒りっぽくなるとか、私のようにくよくよするとか「こころ」の問題を思い浮かべるけれども、実はそれほど単純ではないそうだ。(精神病とされてきた疾患が、実は体の問題であるのと同様である)

そうした感情が表面化するのは「こころ」の持ち方の問題ではなく、脳神経を連結する神経突起やシナプスが退化して、神経細胞間の連絡がどんどん過疎化していくことだそうである。どちらが鶏でどちらが卵かよく分からないけれども。

脳神経の連結が十分でなければ、記憶力や判断力が衰えるのは当然の帰結だし、いずれは体を動かす機能に影響することは避けられない。だから、意識して感情の老化を防ぐ必要がある。

正直なところ、歳をとったらそれなりに衰えても仕方がないとは思うけれど、かといって自分のことが自分でできずに施設のお世話になるのはできるだけ避けたい。だから、リスクファクターはできるだけ除くよう心がけてきた。

アーリーリタイアに踏み切った一番の原因は、ストレスの多い職場にとどまって、脳の血管がいつ飛ぶか分からないという心配だったし、糖質制限で十数kg減量したのもできるだけ健康でいたいからである。

そうした観点からすると、気が滅入って脳の神経が退化するとしたら放ってはおけない。だましだましでも、気を取り直す方向に進まなければならない。

そこで思い出したのが、森巣博先生の一連の作品であった。その中に、薬物依存から抜け出す方法として、「明日になったら思いっきり薬をやろう」と思って今日一日我慢する。それを一日一日伸ばしていく他に方法はないと書いてある。

「今後いっさいやらない」とか大それた、先の長いことを考えてもダメだそうである。とにかく今日一日をやり過ごす、打たれ越すしかないという。

よく考えると、気が滅入っている原因はほとんどすべて「カネがない」ことに尽きるが、かといって今日食べるご飯にこと欠く訳ではない。とにかく今日一日をつつがなく暮らすことに集中して、先のことはあえて考えないことである。

そんなことがいつまでできるのか分からないが、ともかくそうやって一日を打たれ越していく他はない。くよくよする時間が少しでも減れば、それだけ脳神経の退化は足止めされると期待している。

[Jun 30, 2022]

老化現象は頭や体よりも早く感情に現れるそうで、それには脳の神経突起やシナプスが退化して脳神経間の連結が過疎化するプロセスが絡んでいるらしい。できるだけそうしたことが起きないように注意する必要がある。(出典:京都大学HP)