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なんとなく思うこと

145 LIFE BELOW ZERO [Jun 29, 2022]

YouTubeも広告みたいな番組ばかりで少々飽きてたので、最近はAmazon Primeで”LIFE BELOW ZERO”を見ている。最新はシーズン14らしいけれど、週に2日程度しか見ないようにしているので私はまだシーズン3。先はずいぶん長い。

日本語題は「氷点下で生きるということ」だが、この翻訳は正しくない。ZEROというのは0℃ではなく、0℉のことなのである。だから「氷点下」ではなく「氷点下17℃以下」、北海道の内陸部でも年に何日かしかない寒さである。

アラスカの北極圏、冬になると太陽が顔を出さないような地域で暮らす人達のドキュメンタリーでBBCが制作、ナショナルジオグラフィックTVが放送している。さすがBBC、目の付け所も腰の据わり方も違う。

極北の人々というと、エスキモー系の北方民族を思い浮かべるが、登場人物の中で明らかに少数民族出自なのはイヌピアットのアグネスだけである。昔のアイヌの人達のように口の周りにいれずみをしている。

アクネスの夫であるチップ・ヘイルストーンはイヌピアットではなく、狩りをする権利がないものだから(わが家では婿養子と呼んでいる)、基本的に奥さんと子供だけがライフル銃を持つ。そういう時、夫は薪拾いとかテント造り、機械の整備を担当する。

他の登場人物は基本的に州の規則にしたがって、狩猟できる時期にしか狩りをしない。主な獲物はカリブー(トナカイ)とムースで、テンやライチョウも獲って食べる。サバイバル登山の服部文祥が「カリブー、カリブー」と何かの番組で連呼していたのは、多分”LIFE BELOW ZERO”を見ていたんだろう。

この番組を見ていると、わが国のアイヌ民族も同様に独自の文化を持っていたのに、内地の人達と同じ生活様式を強制したのは気の毒なことだったと思う。かといって、NHKが冬の間密着して撮影できる訳もないのだが。

とはいえ、イヌピアットの家族は先祖伝来の生活方法を両親から学ぶため、ときどき学校を休まなければならない。日本ではちょっと無理そうである。

個人的に一番気に入っているのは、自給自足どころか機械類に一切頼らず、山小屋で一人暮らすグレン。チェーンソーもなければスノーマシーン(スノーモービル)もなく、斧と鋸で大木を伐り、自力で橇に載せて運んできて燃料にする。

家族のところに帰ろうと思うと、道路があるところまで2日歩かなければならない。おカネを持っていないので、道に出てからもヒッチハイクである。わが家ではヒッチハイク男と呼んでいる。(よく考えるとBBCから取材協力費が出ているはずだが)

当然、パンとか穀物とか、炭水化物は摂っていない。高い木の上に吊るしたカリブーやムースの骨付き肉を一冬食べて生きている。さすがに冬になるとBBCも撮影に来れないらしく、登場するのはほぼ夏に限られる。

他にも、奥さんに逃げられてしまった犬ぞり男や、逆に若い奥さんをもらって家族が増えたガイド兼罠猟師、アラスカの最北部で飛行機相手のガソリンスタンド兼キャンプ場を経営するスーおばさんなど、個性的という言葉では追い付かないような登場人物が零下20℃を超えるアラスカで奮闘する。

何で日本のTV局は内輪ウケで20年以上やっているお笑いや、通販番組ばっかりやっているんだろうと思う。貧すれば鈍するで、日本文化の発信力は急速に衰えていると感じさせられる番組である。

[Jun 29, 2022]

アラスカの北極圏周辺で暮らす人達のドキュメンタリー。BBC制作というと、思い出すのはモンティパイソン。写真は登場人物のひとり、キャンプ場兼飛行機のガソリンスタンドを一人だけで経営するスーおばさん。熊に襲われたが復活した。