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将棋

156 第70期王座戦、永瀬王座4連覇  [Oct 6, 2022]

第70期王座戦五番勝負(2022/9/3-10/5)
永瀬拓矢王座 3(1千日手)1 豊島将之九段

四強と言われてまだ2、3年だが、時代は早くも藤井一強に移りつつある。この両者も、永瀬は直前の棋聖戦五番勝負で、豊島も直前の王位戦七番勝負で、藤井竜王・五冠から1勝を挙げただけで防衛を許している。

永瀬・豊島といえば叡王戦九番勝負、今回はそれ以来の両者のタイトル戦となる。フルセットは必至と思われたが、第2局指し直し以降永瀬王座が3連勝してあっさり防衛を決めた。

両者とも事前研究に定評があり、しかも終盤の強さも折り紙付きである。あえて特徴をあげれば、豊島がどちらかというと序盤に強く、永瀬は中終盤に強いという点だろう。

今回の五番勝負は、第2局がターニングポイントとなった。豊島1勝を受けて始まった第2局、序盤は普通の角換わりだったが、午前中に93手進むのは普通でない。下図の時点で昼食休憩。永瀬は90分、豊島は61分しか使っていない(しかも、チェスクロック方式である)。

先手の豊島が大駒3枚で、やや押し気味のように見えたのだが、ここから長考応酬の結果、夕食休憩後に千日手となる。先後が入れ替わるのと、永瀬王座得意の長丁場となって、指し直し局は永瀬が勝って1勝1敗の五分となった。

どうやらここが分岐点だったようで、第3局・第4局も永瀬が制し、指し直し局から3連勝でタイトル防衛を果たした。第4局では、先手・豊島が穴熊に組んだものの、永瀬玉が入玉確定で豊島九段の投了という永瀬王座得意の展開となった。

このところ永瀬王座の調子がいまひとつのように思えたのは、これまでは守っていた場面であえて攻勢に出て、それが形勢を悪くしていたように思う。

おそらくそれは対藤井戦で守ってばかりいては勝てないと思ったからなのだが、今回のタイトル戦ではいままで同様に長期戦歓迎、持将棋・千日手望むところという姿勢が目立っていた。第4局はまさにそのような展開で、快心の一局だったのではないだろうか。

かたや豊島九段。今シリーズ角換わりにこだわったのは事前研究に自信があったからだと思うが、AI判断が示すように双方最善なら千日手となる変化に苦しめられた。第2局では千日手にして失敗だったかもしれないし、第4局は打開してから形勢はよくなかった。

永瀬王座はこれで4連覇となり、来期は5連覇の名誉王座が掛かる。永世称号を持っている棋士は、永世名人資格者を除くと、現役では佐藤康光永世棋聖と渡辺永世竜王・棋王の2人だけである。

永瀬がこの2人に続けるかどうか。おそらくそれは、藤井竜王が来期の挑戦者になれるかどうかにかかっている。九段昇段に続いて永瀬が藤井に先んじることができるかどうか。来期のトーナメントは注目である。

[Oct 6, 2022]

第70期王座戦第2局、出だしは普通の角換わり腰掛け銀だったが、午前中にここまで進んだ。研究がここまで進んでいることに驚く。先手・豊島九段が押し気味に見えたのだが、千日手となる。指し直し局から3連勝で永瀬王座が防衛。