インターネットが普及して、これまでの住所や電話番号に代わってメールアドレスでことが足りるようになった。
便利な世の中になったと思った。切手代や電話代をかけなくても必要な通知は送られてくるし、問い合わせも手軽に済ますことができる。ポストに入ってくる郵便物の多くはゴミなので、捨てる手間も減るしゴミの量も少なくなるのでゴミ袋代も節約になる。
ところが、ここ2~3年、スパムメールが急増して、ひどい状態になっている。もちろん、迷惑メールチェック機能は使っているのだけれど、見たいメールが迷惑メールに振り分けられたり、スパムメールがチェックをすり抜けて未読に入ることが珍しくないので、結局のところ全メールをチェックしなければならないのである。
郵便代がかからないのはこちらだけでなく先方もそうなので、スパムメールは送り放題である。曰く「LINE緊急問題 至急登録情報をご確認ください」「不審なアクセスがありました。メールアドレス、クレジットカード情報を更新してください」「支払方法を確認できず、注文が出荷できません」などなど。
手当たり次第に送ってきていることは、LINEなどやっていない私に送られていることで明らかだし、amazonだって楽天だってそんなに利用していない。変な日本語を使ったり変換できなかったりするのは、おそらくChina方面から送ってきているものと思われる。
「蟻族」を読むと、北京とか上海の近郊には、田舎から出てきて専門教育を受けた秀才たちが、就ける職業もなくスラムの一角(一室にもならない)でコンピュータに向かって、こうした怪しげなビジネスに関わっているという。膨大な通信量の中からメールアドレスを抽出し、それらしきスパムメールを作って送れるのだから、相当な知的水準にあることは間違いない。
しかし、せっかくの知識もスパムメールを作って送るだけだとすれば、才能の無駄遣いと評価されても仕方ないだろう。振り込め詐欺にひっかかる人も少なくないのだからそれなりに商売になるのかもしれないが、専門知識に見合うだけの実入りにはならないのではないかと思われる。
長年ブログをしているのであまりそういうことを言いたくはないが、ブログというツールもメールに近づきつつあるような感触をもっている。
アクセス数が多いブログを時々覗いてみるのだが、多くはLINEとかフェイスブックと変わらないような記事だし、そうでなければ広告である。Googleで検索上位に来るような記事は、記事自体が広告であるか、でなければ広告満載であるかのどちらかである。
私がWEBの世界の新参者だった時代は、いろいろな知識を何の見返りもなく提供してくれる人達が多くいた。「Pay it forward」という言葉もあった。だから、私もつたない知識や情報を還元しようと努めてきたのだけれど、いつのまにかそういう時代ではなくなってしまったみたいだ。
メアドもブログも過去の遺物になってゆくとしたら、とても寂しいと思っている。
[Aug 12, 2020]