チミケップ湖

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このくらいの季節になると、昔足しげく北海道に行ったことを思い出す。独身のとき8年連続、結婚して子供を連れて8年連続、他にも夫婦2人で行ったり出張で行ったり、40~50回は間違いなく行っているだろう。

20くらいの頃は、できれば北海道に移住したいと思っていたが、昔と違っていまは本州並みに暑いのと、経済的余裕がないので行くことすら難しくなってしまった。

以下は2015年8月の記事。奥さんと2人で、レンタカーを借りて大雪山周辺をドライブした時に書いたものである。

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初めて北海道に行った四十数年前から、究極の秘湖はどこかということがよく言われていた。当時最奥の湖とされていたのは知床五湖で、5つの湖をめぐる散策路は「最果て」という言葉がぴったりくるような雰囲気であった。阿寒湖の奥にあるオンネトーも秘境と呼ばれていたが、その大きな理由はバス便が通じていなかったということであった。

その後、知床五湖は自然保護とヒグマ生息地であるため奥の方まで入れなくなってしまった。オンネトーも秘境には違いないが、湖というより池に近い。そうなると、なかなか行くことのできない秘境の湖というと、チミケップ湖の名前がかなり上位にあげられるのではないだろうか。

チミケップ湖に行くには、津別という町で国道240号線から道道(どうどう)を山に向かって折れていく。はじめは片側1車線の舗装道路だが、途中からすれ違い困難な砂利道になる。しかも相当の傾斜がある。しばらく走ると湖畔に出るが、依然として1車線の砂利道である。地図をみると、湖畔から陸別側に抜けられるはずなのだが、その道にはゲートが下りている。まだ夏なのに通行止めなのである(雪が降ればなおさらだろう)。

もともと津別町自体が都会からは離れたところで、北見、女満別、美幌といった開けた町からは10km以上の距離がある。そこからさらに10km以上先だから、相当の秘境である。そして、湖に至る数kmの間、まったく人家はない。

さて、先般から廃止されたユースホステルについて調べている。40数年前に私が泊まった然別湖畔、洞爺観光館など、道内のユースホステルには廃止されたものが多い。そして、このチミケップ湖にも、かつてはユースホステルがあったのだ。その名をチミケップ湖荘という。昭和35年12月に開設され41年3月には閉鎖となっているから、私が北海道に来た昭和50年代にはもうすでに存在しなかった。

今でさえ砂利道ですれ違い困難なのに、50年前にはどんな道が通じていたのか、想像できない。いま手元にある1971年9月の交通公社時刻表を見ても、津別まで国鉄相生線が通っていたものの(国鉄解体でまっさきに廃止された)、チミケップ湖までのバス路線はない。自家用車もそれほど多くなかったその時期に、いったいどうやってここまで来たのだろう。

そして、この秘境に、いきなりしゃれた建物が現れる。チミケップホテルである。ネットをみると、1人1泊2万円以上という、なかなかの宿である。湖の周囲で常時人がいるのは、このホテルだけである。海外旅行客全盛のこの時代だが、大型観光バスの入れないこの湖に、中国人旅行客が来る懸念はなさそうだ(ホテルの人がどう思っているかは知らない)。

ホテル前の一角だけが開けていて、湖面を望むことができる。まったく人の手の入っていない、自然そのものの景観である。こういう景色があると、遊覧船とかモーターボートとか浮かべてしまうのが日本人のよくないところだが、おそらく釣り船が若干出るくらいではないだろうか。

ホテルの先3kmぐらいにキャンプ場もあるが、あまりにも道が狭いし、路面状態も良くないので断念した。さきほど述べたユースホステルは、昔の地図をみるとそのキャンプ場のあたりにあったらしい。電気は通じていたのか、食糧の調達はどうしたのか、そもそも集客はどうしたのかなど、今となっては調べる方法がないのは残念である。

もっとも、当時のユースホステルではTVなぞ見せてくれなかったから、電気がなければ暗くなったら寝るというだけの話だったかもしれない。いまでも、山小屋はそうである。あるいは、こういう場所柄、山小屋として使われていたのかもしれない。だとすればユースホステル価格の一泊千円位ではやっていけなかったのも無理はない。

p.s. その当時の記事をご覧になりたい方はこちら。全国いろんなところを回った記事のバックナンバーはこちらで。

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いまや道内でも随一の秘境かもしれないチミケップ湖。ダート道を数km奥に入らなければなりません。キャンプ場もあるそうですが、そこまで行きませんでした。

湖畔に唯一ある建物チミケップホテル。HPによると、オーナーシェフのお料理がすごいらしいです。