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将棋

136 第62期王位戦、藤井王位4-1で豊島竜王を圧倒 [Aug 26, 2021]

第62期王位戦七番勝負(2021/6/29-8/25)
藤井聡太王位 O 4-1 X 豊島将之竜王

デビュー4年目にして王位・棋聖二冠の藤井王位。棋聖戦で渡辺名人相手にストレート防衛したのに続き、王位戦でも豊島竜王を4-1で圧倒、初防衛を果たした。防衛戦で7勝1敗、まさに勝率8割男の面目躍如である。

七番勝負の展開を振り返ると、第1局を豊島竜王が完勝して好スタートを切ったものの、第2局は難解な攻め合いを藤井王位が逆転。第3局以降は藤井王位が中盤でリードを奪い、接戦にもならなかった。

これまでの対戦成績では豊島竜王に大きく負け越しており、この王位戦も第1局ではこれまで見たことのないような負け方で、さすがにこの相手では簡単に勝てないと思わせた。

ところが、第5局の勝利で対戦成績を豊島9勝、藤井7勝とほぼ互角にまで挽回している。藤井二冠に9勝している豊島竜王もさすがであるが、ここ数局は内容でも藤井王位が押しているように見える。

下図は防衛を果たした第5局。藤井王位の先手番から相掛かりとなった。8筋から動いた豊島竜王の飛車を攻めて飛車角交換に持ち込み、駒得した銀を攻防の要所に投入、この局面では先手陣に付け入る隙がない。

さすがの豊島竜王も粘る順が見つからない。9七の桂を取っても香で取り返されて1二香成を見せられるし、取らなければ8五桂と飛ばれる。持ち駒は歩しかなく、使える場所が見当たらない。結局、9七歩成、同香までで投了となった。豊島竜王自身、こういう大差負けはほとんど例がない。

とはいえ、並行して行われている叡王戦は2対2で勝負は最終局に持ち込まれている。豊島竜王としては、叡王戦第4局から中1日で秘策を出すよりも、防衛まであと1勝に迫った叡王戦にウェイトを移したのかもしれない。

さて、これもまた並行して進んでいる竜王戦決勝トーナメントでも、藤井二冠は挑戦権まであと1勝に迫っている。永瀬王座と争う挑戦者決定第2局は先手番、ここで勝って挑戦者となれば、再び豊島竜王との七番勝負となる。

竜王戦が始まる頃には叡王戦が決着しているのでタイトル戦同時進行とはならないものの、竜王挑戦となれば合計十九番勝負になる。そして、叡王戦、竜王戦いずれかで獲得なれば最年少三冠達成。もし敗れたとしても、来年・再来年には再びチャンスがやってくることは疑いない。

ここ三十年ほどの将棋界は基本的に羽生時代ということになるが、羽生永世七冠が大山・中原ほどの圧倒的な強さを見せたかと言うと、そうではなかろうと思う。名人も竜王も連続防衛ではなく通算獲得年数による永世資格獲得だし、永世名人では森内に先を越された。

同様に、現在は圧倒的な強さを見せている藤井二冠だが、あと三十年経ってからの評価は、同世代、そしてより若い世代との対決を待つ必要があるだろう。まさに、そういう世代がいま、三段リーグからプロ入りを目指しているさ中である。

[Aug 26, 2021]


第62期王位戦七番勝負、第1局を完敗でスタートした藤井王位だが、第2局から4連勝であっさり初防衛。第5局はまさに「勝ち将棋鬼の如し」で、大差が付いて豊島竜王の投了となった。この場面では、もはや先手陣に攻められる場所がない。